ほおずきの香合を試作してみる

職人が作る鬼灯の香合

ほおずきの香合は、
茶の湯の世界では、かなり昔からあるようです。
香合は一般的には焼物で丸型すが、決まりはありません。
ちょっとした遊び心として、彫刻が入った香合もよく見かけます。
香合は主に茶道などで使われますが、
置物として、という人も多くいます。
例えば、玄関などにあるちょっとした棚にアクセントとして、などなど。
置物の香合となると、縁起物として、鶴や亀(長寿の象徴)などが人気。
小さいながらも、よく作り込まれた香合は、
ふと気になって、顔を近づけて見入ってしまうことも。
小さいものならではの、一味違う木工品の魅力があります。
さて、今回のほおずきの香合ですが、
他のほおずき香合と同じでは面白くないので、
ちょっと違いを出そうと思って、
中に種を入れました。
蓋を開けると、「おっ」となる設計にしました。
ほおずき香合の内側

とりあえず、今回は試作です。
試作は雲のストラップの時と同様に、
やわらかく削りやすい木でやります。
工房に溢れているヒノキを使おうかと思いましたが、
ほおずきの色に少しは近いほうがいい。
というわけで、キングビリーを使いました。
聞いたことない木の名前だと思います。
これは以前オーストラリアに行ったときに持ち帰った木です。
茶道を初めて体験したのもオーストラリアでした。
外国では、意外なほど日本の禅や茶道をやっている人が多いです。
私もそうでしたが、茶道などをするとき、
ほとんどの日本人は作法や手順ばかり覚えようとします。
しかし、外国人に興味があるのは、作法や手順ではなく、
その奥にある「精神性」なんだなと感じることが多かったです。
外国で初めて茶道教室に行ったとき、
「茶道はムーヴィング・メディテーション(動きながらする瞑想)なんだよ」
と教えてくれました。
瞑想なんて言うのは日本では、やや「怪しい」ものと思われがちですが、
外国では、日課としてやってる人が沢山いました。
元々は東洋の文化であったにもかかわらず、
今や日本人よりも西洋文化の人に受け入れられている感じさえありました。
日本には、茶の湯や禅だけでなく、建築物、手工芸、芸能など形としてたくさんの文化が残っています。
観光などで目にすると、きれいだな、いいものだな、と思います。
しかし、表面的な形の奥にある核の部分、あまり商業的でない部分、西洋文化の人々が本当に価値を感じている部分に、当の日本人はどれほどの価値を感じ、大切に思っているだろうか?みたいな事を思いました。
さて、そんなキングビリーですが、やや赤みがかった色は、日本のイチイの木を思い出させます。
イチイは一位一刀彫で有名なように、彫刻にも使われる材料で、
昔の人が作ったと思われる香合にもイチイの木が使われていました(ヤフオクによく出ています)。
しかし、キングビリーもイチイもとても軽い針葉樹です。

今回の試作を元に、サクラ材である程度の数を作る予定です。
ほおづき香合を開ける

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