画竜点睛(がりょうてんせい)
―龍の目を描くことを指し、
物事のもっとも重要な点、
また、作品の完成のために、
最後に加える重要な事の意。
雲型のモダン神棚作りでの画竜点睛はと言うと、
雲の渦巻の中心部です。
祈り雲は、この雲の渦がきれいに彫れているかが大事です。
渦をきれいに彫るには、
渦巻の中心部のコロッとした丸い部分と、
渦巻曲線との境目。
上の写真の赤丸の部分が大事で、
ここがキュッとなって、ピシっと決まっているといい渦になります。
彫り方
丸鑿一本できめます。
カーブがしっかりと合ったものを選び、
1.丸い部分の側面に沿って鑿を入れ、側面を仕上げると同時に垂直に切り込みを入れる。
2.切り込まれた深さまで、横から掬うようにして切る。
文章での説明は難しいです。
感覚的な事というのは文章にできないので、
やっていることを単純に書き出すと上の2つだけになってしまいます。
文章力の問題もありますが、言葉の限界で、
それは彫刻に限らず、あらゆる仕事に言える事だと思います。
特に、職人仕事の場合は、言葉というより、
体で覚える、手で覚える仕事です。
だからこそ、人間の持つ感覚的なことを大事にしようとする意識も養われるような気がします。
現代では、手や体を使う仕事は少なくなり、
その分、人は頭で色々考えるようになりました。
理屈、理論を重視するようになってきている気がします。
理論というのは綺麗に筋が通っていると、
ああ、そうなのかぁ、そうだよなぁ、
と納得してしまいがちですが、
「理屈」というのは元々、組み立て方次第で何とでもなる、という性質を持っているというだけで、
理屈の上での答えが、実際の解決になるかというと、
そうでない場合が多いです。
不確実性というか、理屈の通りにはならない可能性を
いつも多分に含んでいて、
何とも、つかみどころのない、
厄介なものですね。
神棚の渦の彫り方からずいぶん話がずれてきたので、
まとめさせて頂きますと、
今回は、感覚的な手仕事について書いてみました。
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