ものづくりをしていて最近気が付いたこと


ものづくりをしていると、
よくホームセンターに行きます。
買うものはだいたい
制作のなかで使う消耗品などです。
ちなみに、
彫刻神棚 祈り雲に使う"木曽桧"は、
ホームセンターには売っていないので、
定期的に材木屋さんに分けて頂いています。

祈り雲の他にやっている仕事で
"合板"をよく使うため、
ホームセンターによく行きます。
合板とは、よく知られているように
薄くスライスした木を
何枚も張り合わせた板です。
一般的に、建築資材として使われるので、
見た目の美しさは求められないとはいうものの、
近年、その質が落ちてきたなと感じます。

建築資材として使うなら、
分からない程度の変化だと思いますが、
合板にいろいろと細工を行う場合は、
質の低下の影響を受けます。

例えば、外見からは見えない
中の材がスカスカだったり、
接着材の質を落としているのか、
表面の材が部分的に剥がれやすい物もあります。
もちろん質はメーカーや店によって
様々だと思います。
ただ、最近は頻繁に"はずれ"を引いてしまいます。
自分がツイてないだけならいいですが、
近い業種の人も
同じような事を感じているみたいで、
ものづくりの世界でもいろんな所に
コストカットの影響が出ていると感じます。

ショックだったのは、
日本製のトリマー(板の面取りなどをする電動工具)が、
大して使っていないのに、軸ブレ(回転の中心がずれる故障)を起こしたときですね。
大昔に買ったのは逆に丈夫だったりします。
当工房の規模だと小さなダメージですが、
仮に、日本全体で資材や工具の質の低下が起こっているとすれば、
修理や買い替えのコストという地味なところからも、
じわじわと経営を圧迫されるところもあるだろうな
と勝手に予測してます。

こういう状況になって初めて、
当たり前に使っていた時は何も思わなかった、
過去の日本製の凄さに感心させられます。
また、長い期間、
日本のものづくりを支えていたのは、
町工場などの職人さんの技術レベルの高さだけではなく、
常にそこへ質の高い資材や工具が
供給されるところにもあったのだなと、
改めて気づかされます。

しかし、そんなことをしみじみと
感じている場合ではなく、
社会全体で加速するコストカットの流れの中で
資材や工具の質低下は、
日本のものづくりの根幹を
揺るがし始めているような危機を感じます。
桜は満開です