ぱっと見、普通の彫り物ですが、
立体的な動物を平面に投影する半立体の彫刻で、
すこし難しかったです。
当工房の木曽桧彫刻神棚 祈り雲と同じ木曽桧から彫り出しました。
ポメラニアンとチワワのミックスで、
ニコという名前の犬だったそうです。
先月、
飼い主がソファーから足を下した瞬間、
走り回っていたニコが偶然に、
足と床の間に滑り込んでしまい、
そのまま圧迫死してしまったそうです。
なんとも可哀そうな話です。
ニコを可愛がっていた子供たちからもお願いされるかたちで、
愛犬のご冥福を祈り、彫ることになりました。。
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制作途中の写真 |
相手が子供だからといって適当にはできません。
なぜかと言うと、
子供は、ダメだと思ったら素直に言うからです。
「似てなーい」
「ダサ―い」
など思ったままに言います。
甘く見ていると、
心ズタズタになります。
なので、神棚を作るみたいに丁寧に彫りました。
でも、
正直に言ってくれるので、こちらも勉強になります。
ダメな時は容赦ないですが、
良いと思ったものには、飛び跳ねるように感動を表現してくれます。
昔はよく動物の彫り物ばかりやっていました。
でも今はほとんどやっていません。
写実的な彫刻をしたのは、7年ぶりくらいです。
慣れない仕事で大変でした。
動物や人物の彫刻というのは、顔があります。
顔のある木彫刻というのは、
作品の良し悪しは顔で7、8割決まります。
今は、そういったポイントで決まるものでなくて、
一つの塊、立体として力のあるものを作れたらと思っています。
ですが最近、
少しづつ具体的なところまで進んでいるプロジェクトが別にあって、
僕が部分的に顔を彫刻する仕事です。
詳細は、専用のウェブサイトを立ち上げた時になりますが、
それの準備体操のような意味で、
今回の犬の遺影彫刻の制作は勉強になりました。
犬の遺影は、無事に依頼者のもとに届きました。
率直に感想を言う子供たちに、少しビビっていたのですが、
とても気に入ってもらえたようです。
そして意外なことに、
子供の率直な意見に斬られてしまったのは、
依頼者である子供たちのお父さんでした。
聞いたところによると、
「ニコをこんなに上手に作れる人がいるのに、お父さんは何も持っていないね」
と言われたらしいです。
依頼者の職業は不動産関連の仕事で、社会的、収入ともに大人の視点で見れば、しっかりしてるのですが、子供の視点から見ると、父親が何をやっているのか全く分からないわけです。
子供にとっては、驚きがあったり、楽しくなったりする事、単純にそういうものに価値があるようで、彫刻屋さんの仕事が魅力的に映る、という事が時々起こります。
それは、作り手にとって嬉しい事でもあり、興味深い事でもあります。
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