木彫刻における日本の雲と外国の雲との違い


コラム「職人のかたち」に、
日本人がいいと思う雲の形について書きましたが、
それは、他の国のとどのように違うのでしょう?
今回は、たまたま手元にあった中国の雲の彫り物の写真と比べてみたいと思います。

中国の木彫刻の歴史は、日本よりはるかに長く、
木彫刻の職人さんの人口も桁が違います。
1000人を超える木彫職人さんがいる町があると昔聞いたことがあります。
そういった町で、量産品の木彫刻品から、
凝りに凝った職人芸的な木彫品まで、
様々な制作がされているわけですが、
下の写真はその一つです。
ベッドの足元に巨大な木製の箱があります。
これは、以前タスマニア島のロンセストンという町で、
一般的な民家に泊めてもらった時に寝室に置かれていたものです。
昔、中国から取り寄せたものらしいです。
石造りの家の中で異様な存在感を放っていたので、
思わずシャッターを押してしまいました。

色が赤っぽいですが、アップで撮ったのが下の写真です。

ご覧の通り、日本の神社やお寺でよく目にする雲とは違います。
二匹の龍の背後に雲がたくさん彫ってありますが、
どことなく雲の形がコロッとしています。
全ての彫り物がそうではありませんが、
中国の雲の形と言うのは、どこか梅の花っぽいコロッとしたものが多いです。
この彫り方は、日本のどんな神社に行っても見かけない彫り方だと思います。
人によっては「雲っぽくない」と、なりそうですが、
逆に中国の人が日本の雲を見たときも「微妙・・」と思うのかもしれません。
国や文化によって人の感性は違うのだと思います。
もちろん、彫った人は「これが雲だ!」と思って彫ったわけです。
「雲」一つとっても、これほどの違いがあるんだなぁとこの木の箱を見て思いました。

というか、龍も日本の龍と全く違いますね。

パッと見た感じ、かなりスピードでバババッと彫り上げた感じがします。
でも、それでキマっていればいいんです。

といわけで、
雲の彫り物も色々で、今回は、昔撮った写真をもとに説明させて頂きました。

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