心を癒す香りの秘密を調べてみた



ひのきのアロマ精油


木曽桧彫刻神棚 祈り雲の香り

祈り雲を購入なさったお客さんから、
一番頂くのは、「香り」についての感想です。
あの、ふわぁ~と漂ってくる
やわらかい木曽桧の香り。

中には箱を開ける前から香りを感じる方もいたり、
不思議な事に、お寺の香りがするという方もいたり、
人の嗅覚もいろいろで興味深いです。

職人は、日ごろから
木曽桧の香りの中で仕事をしているので、
鼻が慣れていて、お客さんより嗅覚が鈍感になっていると思います。
しかし、ウェブの「至高の良材を使う」での紹介のように
製材するときや、たくさんの削り屑、鉋屑が出る時は、
工房の隅々まで木曽桧の香りでいっぱいになります。
木屑が飛びアロマが充満

さて、
今回はそんな祈り雲の素材である木曽桧を含む、
桧の香り成分について調べてみました。

効果が確認されている成分で代表的なものを紹介します。

①【わかりやすい名前の】ヒノキチオール

1936年に台湾ヒノキの精油から発見されたヒノキチオール。
自然界には存在しないとされていた七角形の構造式を持つ炭素化合物として、注目を集めました。
ひのきの香りの元と言っていいヒノキチオールは、抗菌成分としてまた芳香剤として高い効果が確認されています。
実のところ、国産の桧に含まれる量は少ないのですが、抗菌性を持つ成分はヒノキチオールだけでなく、
α-カジノ―ル、ヒノキオール、リモネンなど多くあり、国産ヒノキはそれらを豊富に含んでいます。
ヒノキチオールが注目されたのは、天然材からの抽出のしやすさからでした。
といっても、抽出には1㎏で数十万円もしてしまうとても高価なものらしいです。
ヒノキチオールの構造

②【癒しをもたらす】α-ピネン

鎮静作用として知られるα-ピネンは、「森の香りがする」成分です。
まさに癒しの香りと言っていいこの成分は、血流を良くして、脳の活動を活性化する働きや、脈拍数が減少して心や身体が安定化することが確認されています。
また、抗酸化作用、また活性酸素を除去する事が確認されていて、がんを予防する成分として知られています。
食べ物では、夏の野菜ミョウガにもα-ピネンは多く含まれています。

③【スッキリ爽やか】リモネン

その名の通り、リモネンは柑橘系の果物の皮に多く含まれる成分です。
スッキリとした香りリモネンの効果は、注意力の増大、眠気覚まし。
また、食品や飲料の香料、洗浄剤の溶剤としても非常によく使用されています。


上記の他に様々な成分がひのきの香りには含まれていて、それら植物から作られる化学物質を総称して「テルペン類」と呼びます。
テルペンは様々な形で応用され、芳香スプレー、抗菌、ダニ抑制グッズとして販売されています。

まとめ

桧の香りにはまだまだ
分かっていないことも多いみたいですが、
木の家に住みたいと思う人は多いことからも、
その香りや質感が人を癒す効果を持つ事は、
本能的に誰もが知っています。

彫刻によく使われる木は他に
朴や楠、欅など
たくさんありますが、
桧に比べるとやや癖の強い香りがします。
乾いていない銀杏(イチョウ)材の香りは、
ここでは書けませんが、
いわゆる汚物の匂いがします。
そんな多様な木材の中で、
癒しという点で桧の香りは
日本人に一番合っていると思います。

今回は、桧に含まれる成分についてでした。
これから、暖かい季節です。
森林浴にでも出かけて
木の匂い、桧の香りを感じてみてください。